チャッピー それでも、僕はお前を許す
この映画は、『第9地区』のニール・ブロムカンプ監督の作品。
何度かお話したことがあったが、自分は『第9地区』が大好きで、この作品もすごく期待していた。
この監督、今年に入ってすぐくらいに次回作が『エイリアン5』のであることを発表していて、それもとても楽しみにしている。
見たことない人はぜひ
あらすじ
2016年、南アフリカのヨハネスブルグでは急増する犯罪に対処するため、兵器メーカー「テトラバール」のディオンが開発したロボット『スカウト』を導入。
『スカウト』は人間の警官隊と連携し、危険な状況では人間の盾となって犯罪現場に突入する彼らはとても好評で注目されていた。
そしてある日、ギャング団ニンジャ・ヨーランディ・アメリカ・ヒットブルが警察の追跡を振り切り逃走。
その先にいたギャングのリーダーは、銃撃戦で台無しにされた麻薬を見て激怒。
損失の2000万を1週間で用意しろという。
そんなの無理だと言うニンジャへ、見せしめにヒットブルを射殺される。
その場に警官隊が登場、慌てふためくギャング団は次々にやられていく。
ニンジャ・ヨーランディ・アメリカは隙を見て逃走。
リーダーはスカウト1体にRPGをぶち込んで逃走。
その頃、テトラバール社で働いていたディオンはスカウトの活躍がニュースで報じられ、社内で賞賛される。
それを恨めしそうに見つめる男が一人。
元軍人でディオンと同じくロボットを開発しているヴィンセントだ。
彼は『ムース』というロボットを開発しているが、スカウトの高評価(その他性能やコスト)に負けて、日の目を浴びることがない。
そこに、ギャングのリーダーにRPGを打ち込まれたスカウトが戻ってくる。
ディオンも立ち会って被害状況を確認するも、修復不可能としてスクラップ行きを決定。
一方、逃げたギャング3人。
隠れ家に戻って状況を整理しているとギャングリーダーから電話。
あわよくばあそこでリーダーが死んでいればと期待していたニンジャもガッカリ。
銀行強盗でもするかと考えていると、ヨーランディが名案?を。
スカウト開発者を捕まえて、スカウトの電源を切ればいい。というもの。
ディオンのことを調べ、誘拐の準備をするニンジャたち。
そしてそのディオン。
仕事が終わると自宅にこもり、日々『完璧な人工知能』していた。
この日も朝方まで何度も失敗し、プログラムを見直していた。
そしてついにプログラムが完成する。
次の日会社に向かい、上司に報告。
スカウト1体を貸してもらいたいと申し出るも拒否される。
しかしプログラムの検証をしたくて仕方ないディオンは、黙ってスクラップ行きのスカウトと、プログラム書き換えに必要なキーを持ち出して会社を出る。
そこにニンジャたちが現れ、ディオンを拉致。
スカウトを止める方法を聞き出そうとするも、外部から止める方法はないと言われ、ディオンを殺そうとする。
この時、アメリカが車に積まれたバラバラのスカウトを発見。
これを自分たちの手下に出来れば金策の手助けになると考えたニンジャは、スカウトを起動させる。
ディオンは自分の作った人工知能をインストールし、スカウトを起動させる。
すると、スカウトは怯えて物陰に隠れてしまうが、数分後には言葉を発し、自分の名前を覚える。
この様子を見て業を煮やしたニンジャがディオンを追い出す。
翌日にはニンジャとディオンが自分たちのやりたいように教育をしていく。
ディオンは犯罪を犯すな、本を読む、絵を書く等やりたいことをやれと教える。
ニンジャは、銃の扱いを教え、そして外の世界の恐ろしさを教える。
外の世界、それは犯罪者はスカウトを嫌っているということ。
チャッピーはニンジャにギャングのたまり場に置いていかれる。
最初は驚いたギャングたちも、怯えるスカウトをみて鬱憤ばらしに石を投げ、最後は火炎瓶まで投げられながら、逃げるチャッピー。
フラフラと歩いているチャッピーを追ってヴィンセントが現れる。
彼は、チャッピーが持つキーを手に入れるために護衛を連れて登場。
チャッピーを捕獲、暴れるチャッピーの腕を切断してキーを取り出す。
そのまま解体しようとするがなんとか逃げ出すチャッピー。
彼はボロボロになりながらニンジャの隠れ家に戻る。
大体半分。
ちょっと長かった。
この半分でも様々なことが起こり、見ていて見ごたえがある。
なのでちょっと細かくあらすじを紹介した。
この映画、元はR15指定だったのを日本ではRG12指定に引き下げるためにグロテスクなシーンを編集してカットして見られる年齢層を増やしたらしい。
これには様々な意見があると思うが、自分はやはりR15指定の方を見たい。
ある部分がカットされたことで失うものがあるのであれば、それは映画の魅力を損なうことになる。
そもそも、子供がしっかりと成長していれば、チャッピーのいたぶられるシーンを見て「人をいじめるのは面白そうだ、俺もやりたい」なんて思わないだろう。
チャッピーが何度も怖い、痛い、やめてと繰り返すシーンは本当に心が痛む。
人のものを盗む、銃や刃物を向けるなんてことも同じ。
これらの行為を進んでやりたいなんて人間は大人子供関係なく病んでいる。
ここではあまり関係ないので深く言わないが、子供の成長は親の責任。
アホな親からはアホな子供しかできない。
それを映画、漫画、ゲームのせいにするバカが増えている。
話を戻して、編集の件でもう1つ。
先ほど、RG12に引き下げるために編集をしたといったが、これについて少し嫌な話を聞いた。
配給元のソニー・ピクチャーズは「監督の同意の上編集した」と言っているが、ニール・ブロムカンプ監督は「何も聞いていない」と回答しているらしい。
もし本当に監督の一切知らないところで編集が行われているとしたら、それこそ魅力を損なっている可能性が十分にある。
結局どこをどう削ったかまでわからないので強くは言えないけど、やめてほしいものである。
チャッピーは人間に何度も裏切られていく。
それが善意にしろ悪意にしろ。
ディオンには数日しか生きられないボディを与えられるが、それを教えたのはニンジャ。黙っていたディオンへの信頼が揺らいでいく。
ニンジャにはチャッピーの修復のために大金が必要とし強盗を持ちかける。当然チャッピーは死にたくないため、犯罪は悪だと思いながらもこちらを選択するしかない。
そしてニンジャはさらにチャッピーに嘘を教える。
チャッピーに手裏剣を手渡し、「これを投げると人間は寝る。殺すわけではない。」と言って、罪悪感をなくし、警備員に傷害を与える。
これは実際、傷ついて恐怖する警備員を見てチャッピーが真実を知る。
そして替えのボディがないことも逃走中の車中で知らされる。
「なぜ人間は嘘をつくんだ!」
そう怒鳴るチャッピーがとても印象的だった。
ここまで裏切られながら、チャッピーはディオンたちを守るために、自ら銃を取る。
この時のチャッピーは以前とは違い、自分で戦うことを選んでいる。
自分が生き続けるために仕方なく強盗をしたのではなく、ほかの誰かを守るために敵に立ち向かう。
目の前で大切な人が傷つくのが許せないから。
少しネタバレになってしまうけど、最後に彼は許してしまう。
大切な人に裏切られた事、大切な人が傷ついた事、自分が傷ついた事を受け入れて、終わりにする。
もし人類がこうであれば、世界は変わっているかもしれない。
チャッピーの仕草がとても可愛い。
愛くるしいといってもいい。
犬をなでたり、怖がったり、喜んだり。
何をしていても感情が溢れている感じで、こちらに伝わってくる。
そのせいか、チャッピーの成長がわかりやすい。
ホントに子供なんだなぁと感じ、そんな子供に与えられるのが災難ばかりなのが悲しい。
ちなみに、チャッピーの動きは『第9地区』のシャールト・コプリーがモーションキャプチャーで担当している。
今作に登場しているニンジャとヨーランディは『ディ・アントワード』という南アフリカのラップグループ。
しかも芸名=役名ということでなかなか面白い。
そしてほとんどの人が気にするであろう『テンシヨン』は嫁と2人でツッコミいれてた。
ちなみに、エンディング曲もこの2人の曲を使っている。
下のがそう。
Die Antwoord - Enter The Ninja (Explicit Version ...
最後に、ラストがやっぱりニール・ブロムカンプ監督らしい展開となっていた。
見てもらいたいので、自分の感想は入れない。
でも機械音痴のニンジャがよくUSBを捨てなかったなっていうのはちょっと思った。
では、本日はこの辺で。しーゆー!