クロノス 不老不死に翻弄された人間たち

今回はたまたま見つけたこの作品を紹介。

パシフィック・リム等で有名なギジェルモ・デル・トロ監督のデビュー作品で、1993年の作品。

一部ではレンタルがされていないなんて話も聞いたことがあるけど、近所のTSUTAYAにはDVDレンタルがされていたので、探せば見つかるんじゃないかな。

 

この作品は不老不死になれるって話だけど、『不老不死=吸血鬼』だと考えて問題ない。

でも吸血鬼を題材にする映画としてはなかなか変わっている。

どう変わっているのかは後でまとめる。

 

ホラー映画だけども怖いとかグロイとかのシーンは少ない。

ただ針が刺さるとかガラスの破片を踏むとか痛々しいシーンがあるのでそういったのが苦手な人は注意。

そもそもホラーとして見ないほうがいいかもしれない。

 

 

 

あらすじ

 

16世紀、とある錬金術師が作ったという不老不死になれるという機械『クロノス』。

それは錬金術師が事故によって死んでしまったあと、所在が分からなくなっていた。

 

そして現代。

古美術商を営む老人ヘススのもとで、天使の像の中から『クロノス』が発見される。

それがなんなのか知らない彼は、スイッチが入れてしまい手に怪我をする。

その怪我により、彼の体は徐々に変化していく。

 

一方で、『クロノス』を使って不老不死を手に入れようと目論む男グアルディルがいる。

彼は大晦日のパーティーに出席するヘススを襲うように部下アンヘルに命令。

ヘススはアンヘルによって会場から拉致され、最後には車ごと崖から落とされてしまう。

 

 

感想

だいぶ短いあらすじになったので、内容が薄いとか思われるかもしれないが、正直な話では前半は特に展開が地味というかなんというか。

簡単にまとめると、体の変化に戸惑いと喜びを感じるヘススと、早く不老不死になりたい男を映しているだけ。

こう書くとさらに印象悪いかな?

 

でもこの2人は物語の中では大きなテーマとなっている。

ヘススは偶然手にした不老不死を手放して普通に戻りたい、グアルディルはどんな手を使っても死にたくないという対照的な2人が登場することで、それぞれの感情というか考え方を比べて、それについて考えさせられるようになっている。

 

特にヘススは変化していく過程で自分が不老不死(吸血鬼)になったと気づくので、彼を襲う絶望と、救いを見ていくには前半は結構重要。

 

それと、これは先程も書いたように吸血鬼の映画だけど吸血鬼が驚異とならない非常に珍しい映画。(最初に少しだけあるけど、現代じゃ無いのでそこは無視)

ヘススは決して人を襲うことはないし、彼以外に吸血鬼は登場しない。

吸血鬼ものだからといってよくあるものを期待するのはNG。

 

 

孫娘アウロラ

あらすじでは登場しなかったヘススの孫アウロラ

彼女は作中で話すのはたった一言。

一番大事な時にたった一言だけ。

これがヘススを助け、人として彼を存在させたのは確か。

 

アウロラはヘススのただ一人の理解者で、ヘススが人でなくなってもそれを受け入れ、ついて行く姿がとても健気。

彼を想い『クロノス』を隠したり、人でなくなった彼の寝床を確保したり。

殺されるかもしれない場所にもついて行って優しく微笑む彼女にはやられた。

ヘススもアウロラもお互いが「この人がいればいい」と想っていたに違いない。

 

ラストもアウロラが居ることでヘススは救われていたはず。

ハッピーエンドかと言われれば、そうではないがヘススが望んだものがそこにあった。

 

 

クロノスについて

結局これについて詳しく知っていたのはグアルディルだけ。

ヘススはコレのせいで不老不死になったってことくらい、アンヘルに至ってはグアルディルの戯言に付き合わされた程度の感覚でしかないだろう。

 

そんなクロノスの正体もわからない人間達が殺し合ったりしているのだから変な話である。

 

このクロノス、外見は金色のスカラベの形をして手のひらサイズ。

中には生きた虫が構造上組み込まれていて、スイッチを入れるとその虫の体液?が人体に入って不老不死(吸血鬼)となる、そんな構造らしい。

 

その体液を入れるために人体に針を差し込むので嫁さんがそこで「ギャーーー!」ってなってた。

そこそこ長い針だったから、嫌いな人は嫌いかも。

 

物語のキーアイテムだからか、デザインが良くて好きだった。

作動させなかったら、置物としても全然問題ない。むしろ欲しい。

 

 

 

では、本日はこの辺で。しーゆー!