MAMA 恐怖だけでは終わらせない、考えてしまうホラー映画

この映画、なかなか怖いということで話題になったらしい。

自分は怖さよりも『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロ氏が関わっていたとうことが見たい理由だった。

 

当初、劇場公開はしない予定だったのを1週間だけ公開がされたらしい。

どこかは知らないけど。

 

しっかりとしたホラー映画になっているが、自分はそこよりも家族愛(母性かも)が強く印象に残った。

内容とかはパッケージ裏に書いてある内容しか知らなかったし、その分余計に楽しめた。

 

 

あらすじ

仕事に失敗したジェフリー。

彼は仕事仲間と妻を殺して娘2人を車に乗せて逃走。

(姉ヴィクトリア、メガネっ子と妹リリー、まだ会話できない年齢)

雪が積もった道でもスピードを出して運転するジェフリーは、娘に気を取られてハンドル操作を誤って車は崖の下に。

 

幸い大した怪我をしなかった3人、あてもなく森をうろつくと山小屋を見つける。

とりあえず中には入るが、人が住んでいる形跡はない。

古い椅子を壊して薪にすることでなんとか暖をとるものの食料はない。

 

ジェフリーはこの状況で(あるいは元々計画していた)無理心中を図り、娘にに銃を向ける。

その瞬間、ジェフリーは背後から何かに襲われて消える。

取り残された2人は暖炉の前に座っていると、暗闇からさくらんぼが転がってくる。

 

 

5年後、ジェフリーたちの消息を追っていたルーカス(ジェフリーの弟)が山小屋で生存していた姉妹を発見し、病院へ搬送。

5年間で野生化していた姉妹は病院での治療によりヴィクトリアは徐々に会話等の社会性を取り戻すが、リリーは物心つく前からあの環境にいたため、行動が変わることはなかった。

 

姉妹を担当したドレイファイ医師はヴィクトリアの催眠療法で『ママ』という存在を知り、山小屋での生活の中で母親役の多重人格を作ってしまったという見解をし、治療を続ける。

 

その頃、ルーカスと叔母ジーンの間で姉妹の親権争いが始まる。

ルーカス(イラストレーター)と恋人のアナベル(ミュージシャン)では経済的に不利だったが、ドレイファス医師が交換条件を出すことで味方してくれて親権を勝ち取る。

 

※条件は医師が姉妹の治療に関する論文を作るために協力すること。

 定期的に面接する、指定した場所に住むこと等。

 

こうして始まったルーカスの望んだ兄の子供との生活だが、おかしな出来事が起こり出す。

リリーはアナベルでもヴィクトリアでもない『誰か』と遊んだり、子供部屋から知らない声の歌声が聞こえたり。

 

その頃、ドレイファイは治療の記録などを見返すことで『ママ』がヴィクトリアの人格だという見解に疑問を持ち、彼女の言う『ママ』の人物像に当てはまる人間を探し始める。

 

ある日、夜に寝室を覗く影に気がついたアナベル

その影を追ってルーカスは階段から転げ落ちて意識不明に。

幸い、大したことはなく数日で意識が回復するとのこと。

ここから3人で生活することになるアナベルは、普通とは少し違う姉妹に気味を悪くしストレスを募らせていく。

 

 

感想

最後まで『ママ』の存在が映し出されないで、明らかに『何か』がいるという演出。

これが最後に現れる『ママ』という存在の怖さ、不気味さを引き立てている。

 

先程も書いたリリーがアナベルでもヴィクトリアでもない『誰か』と遊んでいるシーンでは、リリーが毛布を引っ張り合って遊んでいるのだが、隠れて見えない『誰か』は明らかに宙を浮いた状態で相手している。

人ではない『何か』がそこにいるという印象を強く残すシーンだった。

 

それと最後の方で『ママ』がある人物を襲う時の移動ほうが奇抜で驚いた。

頭隠して尻隠さずみたいな感じになっていて半分笑えるけど、実際あんなの見たら固まると思う。

 

妹のリリー役の子は演技がすごい。

アナベルに抱かれた時の不思議そうな表情も、壁とか見ながら見せる笑顔、警戒心全開の表情とかどれもすごい。

最後の笑顔はホントに可愛かった。

 

途中で怪我をするルーカス。

彼が家族を守るために戦うのかと思いきや、入院してからほとんど活躍の場がない。

その間、アナベルとドレイファイがどんどん話を進めていく。

メインキャラかと思ったらサブキャラだったのは驚いた。

もう少しかっこよく色々やってくれると思ったのにね。

 

 

様々な家族の愛

ちょっとネタバレだけど、要は『ママ』がいた山小屋に姉妹が現れたことで、2人は『ママ』に娘として育たられたということ。

なぜそんなことをしたのかは作中でわかるので、実際に見て確認してほしい。

 

この『ママ』と姉妹の関係だったり、ルーカス達と姉妹の関係だったりで子どもを思う親の気持ち、その逆のパターンの家族愛が表されている。

 

特にアナベルと姉妹は、最初全然打ち解けずにいてルーカスに「嫌われている」とアナベルがボヤくシーンがある。

でもその後、彼女はヴィクトリアが不安を抱いていることを理解してそれを助けようとしたり、リリーを心配したりするようになる。

 

特に、リリーと少しだけ距離が短くなる出来事があって、それがきっかけでアナベルはリリーに対する思いを大きく変わった。

その時のアナベルの顔は本当の母親のようにリリーを見つめている。

そしてリリーも、理解こそできていないかもしれないが、アナベルのそばにいる事に不快感を感じてはいない。

 

この変化を見ていると、人はこうやって親子になっていくものなんだと感じる。

自分が産んだ、それはとても大きいこと。

でもそのあとに親と子供が触れ合うことがなかったら、信頼しあえなかったら。

多分親子ではなく同居人、最悪他人になる。

 

ホラー映画を見てみてこんなこと考えさせられるとは思いもしなかった。

『ママ』が最後の方にならないと活躍しないためか、怖さよりも愛情のほうが強く印象に残ったのかもしれない。

 

 

 

ラストについて

こちらもネタバレになってしまうけど、この映画はバッドエンドである。

でもこの話は、一応全員救われている。

ただし、これは先ほどの話と同じようなことで様々な幸せがある、それゆえに皆が救われていると言える。

 

この終わり方はとても意外だった。

なんともやるせない終わり方だったけど、これもやはり家族愛につながるようになっていて、この作品の大きな見せ場になっている。

まぁ、ラストだから当たり前のことなんだけど。

 

 

 

では、本日はこの辺で。しーゆー!