ワンチャンス 大事なのは続けること、支えること
これはもう結果がわかっているものなので、ネタバレもなにもないかもしれないけど、いつもどおりの感じで紹介していく。
イギリスの有名なオーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出演し、オペラ歌手として成功したポール・ポッツのサクセス・ストーリー。
少し前にもスーザン・ボイルが優勝した番組だ。
このポールが出演した際の映像をテレビで紹介していることもあったので、見たことある人もいるかと思う。
失礼ながら見た目や態度からは信じられない歌声を披露してとても驚かされた。
あらすじ
地元の聖歌隊に参加していたポール。
その頃からぽっちゃり系で気が弱い性格のためにマシュー達にいじめを受ける。
そのいじめは彼が大人になるまで変わらずにいた。
そんな彼は大人になっても歌が大好き。
毎朝オペラを流し、口ずさみながら朝食を食べて仕事に。
彼の仕事中にアクシデント。
店長のブラドンがポールの携帯から勝手にメールを送る。
相手はポールが1年もメールの連絡を取り合うだけの女性。
その女性と会う約束をしてしまう。
自分に自信の無いポールは約束を取り消そうとするも、覚悟を決めて会うことに。
待ち合わせの駅で初めて会ったジュルズと何故か実家で両親と昼飯を食べ、自分の部屋で自分のオペラコレクションを披露。
そこからずっとオペラのことを話しっぱなし。
そこで彼は、自分が尊敬する人が学長をする音楽学校に入学したいこと、その資金が500ポンド足りないことを話す。
そこにブラドンが来て、街のコンテストで優勝賞金300ポンドが出る話を聞く。
お金が欲しいポールだが、ここでも気の弱さが出て出場を決められない。
それを見たジュルズは、次に連絡をするときは音楽学校に入学してからじゃないと会わないとポールを叱る。
皆に背中を押され、ポールはコンテストに出場。
ピエロの格好をして出場、笑われながらもその歌声で見事優勝する。
その後、多少のドタバタがあったがポールは賞金を使って念願の音楽学校へ入学。
さらにそこで憧れの学長の前で歌えるかも知れないチャンスがあることを知る。
認められればオペラ歌手に近づくチャンス。
これをモノにするための課題曲を渡されるが、ペアのアレッサンドラは女の子。
気の弱いポールは、恋人がいなかったためにうまく表現ができない。
アレッサンドラはポールとの溝を埋めるために練習だけでなく、食事やデートなどで過ごす時間を増やしてポールに打ち解けさせて無事課題をクリア。
後日2人は学長の前でそれぞれ歌声を披露。
アレッサンドラはとても高い評価を受けるが、ポールは緊張を跳ね除けることができずうまく歌えない。
その結果、学長に自信がない君はオペラ歌手にはなれないと断言される。
すっかりやる気がなくなった彼は地元に戻り、父親が働く鉄工所に就職する。
さらに、ジュルズとも連絡が取れなくなる。
この『ワンチャンス』を手にできたのは
ポールはブリテンズ・ゴット・タレントで優勝するまでに彼は何度も挫折している。
あらすじでも書いた音楽学校の失敗以外にもその後歌えるチャンスでアクシデントが起こる。
このブリテンズ・ゴット・タレントでも出演直前に逃げ出そうとするくらいである
事故や手術といった経験を繰り返し、1度は歌うことができなくなるかもしれなかったが、それでも最後にはオペラ歌手として成功した。
これは当然彼の才能、そして努力があったからだろう。
でもそれだけではない。
彼の周りの人間はとても良い理解者であったということがとても大きい。
ジュルズ、ブラドン、母親の支えがなければ彼は最初のコンテストにすら出場せず、ずっといじめられながら生きていただろう。
(父親は最後にポールを理解してくれるけど、それまでは体育会系が入っているので否定的)
大事なところで気の弱い彼の背中を時にはそっと、時には強引に押してくれる彼女らがポールにブリテンズ・ゴット・タレント優勝を手にさせたと思う。
登場人物の魅力
この作品の登場人物はとても暖かい。
いじめる役のマシューはちょっと別だけど。
ジュルズはすごく可愛いとか美人さんって感じじゃないけど、でも可愛らしい女性。
ポールが喜ぶことをまるで自分の幸せのように一緒になって喜び、そして悲しむ。
こんな女性なかなかいないよね。
ポールがニートになっても彼を怒らず、自分が働いて家計を支える。
これ見て献身的な嫁さんホントに欲しいって思った。
ブラドンは見た目が少しとっつきにくい感じだけど、とてもポールのことを気にかけてくれる。
自分が昇進して異動のときに次の店長として推薦してくれたり、悩んでいることにさりげない助言をくれたり。
ブラドンが街を出るときは少し寂しかったなぁ。
母親はポールが少しでも好きなオペラに触れられるように生活していた。
最後のブリテンズ・ゴット・タレントも成功を信じていた。
でもホントの最後にいいとこ持っていったのは父親。
ポールは成功を収めたあと、女王陛下の前で歌う機会がある。
その時に父は、ポールがいつの間にか自分が思うよりも大きく成長したことを喜び、ポールを認める。
彼は彼なりにポールを心配し、オペラという夢でなく現実を見て欲しかったんだと思う。
自分は鉄工所で働いて家族を養った、息子も早くそうなってほしいみたいなね。
2人のやり取りで父親の気持ちがわかった気がして最後一気に株を上げた。
でも一番重要なのはポール本人の人柄かもしれない。
音楽学校の先生が「彼は純粋だ」と言う。
彼の優しさ、弱さ、オペラへの想い等を見ると先生の言葉がわかると思う。
ポールの魅力が作品の魅力に大きく影響している。
そういえば役者さん、本人さんと似てるよね?
では、本日はこの辺で。しーゆー!